AIとツールの未来を変える?MCP(Model Context Protocol)について解説!
Clauseを開発するAnthropicが、オープンソースのMCP(Model Context Protocol)を発表しました。MCPは、さまざまなデータやツールとAIを接続するためのプロトコルです。
MCPを使うことで、AIがさまざまなデータを取得して応答したり、自動的にツールを操作したりできるようになります。この記事では、MCPについて詳しく紹介します。
MCPとは
MCPはModel Context Protocolの略で、開発者がAIと情報源やツールを接続するためのプロトコルです。
OpenAIのChatGPTやGoogleのGemini、AnthropicのClaudeなど、近年ではさまざまな大規模言語モデル(LLM)が登場しています。
これらのモデルは、当初はテキスト形式でユーザーとチャットすることしかできませんでした。現在ではモデルの性能が上がり、さらにはインターネットから情報を検索する機能が追加されたりしています。
しかし、基本的にはモデルを提供する企業が用意した情報源やツールにしか接続できないという問題がありました。自分でモデルとデータやツールを接続したい場合には、それ専用の実装を用意する必要がありました。
MCPはこれらの問題に対処し、AIがさまざまなデータやツールと単一のプロトコルで接続できるようにするものです。MCPを使うことで、シンプルで信頼性の高い方法でAIシステムが必要なデータにアクセスできるようになります。
MCPの特徴
MCPにより、AI搭載ツールと情報源の間で安全な双方向接続が可能になります。これにより、AIが応答に必要なさまざまなデータを自ら取得できるようになります。
また、MCPはオープンな標準プロトコルであり、誰でも利用できるようになっています。クローズドな仕様ではないため、プログラミングの知識があれば誰でも比較的容易にMCPを利用できます。
MCPサーバーを開発してAIが接続できる情報源を作ることも、MCPサーバーに接続するアプリケーション(MCPクライアント)を作ることも可能です。
MCPの利用例
BlockやApolloといった企業がすでにMCPを自社システムに統合しています。また、ZedやReplit、Codeium、Sourcegraphなどの開発ツール企業も、MCPを活用してプラットフォームを強化しています。
これにより、たとえばAIがコーディングタスクの文脈をより深く理解し、少ない試行回数でより正確なコードを生成できます。
Block CTOのDhanji R. Prasannas氏は、Anthropicのブログ投稿の中で「Model Context Protocolのようなオープン技術は、AIを実世界のアプリケーションと結びつける架け橋であり、イノベーションを誰もが利用可能で透明性があり、協力を基盤としたものにすることを可能にします」と述べています。
MCPサーバーの例
MCPサーバーは自分で開発できますが、その一方でAnthropicが事前に用意したMCPサーバーも利用できます。記事執筆時点では、次のようなMCPサーバーが公式に提供されています。
- Filesystem - 設定可能なアクセス制御による安全なファイル操作
- GitHub - リポジトリ管理、ファイル操作、およびGitHub API統合
- GitLab - プロジェクト管理を可能にするGitLab API
- Git - Gitリポジトリの読み取り、検索、および操作ツール
- Google Drive - Google Driveのファイルアクセスおよび検索機能
- PostgreSQL - スキーマの検査機能を備えた読み取り専用データベースアクセス
- Sqlite - データベース操作およびビジネスインテリジェンス機能
- Slack - チャンネル管理およびメッセージ機能
- Sentry - Sentry.ioからの問題取得および分析
- Memory - 知識グラフベースの永続的なメモリーシステム
- Puppeteer - ブラウザー自動化およびWebスクレイピング
- Brave Search - BraveのSearch APIを使用したウェブおよびローカル検索
- Google Maps - 位置情報サービス、経路案内、および場所の詳細情報
- Fetch - 効率的なLLM利用のためのWebコンテンツの取得および変換
また、ここで紹介したもの以外にもコミュニティが開発したさまざまなMCPサーバーが存在します。たとえば、Cloudflareの開発者プラットフォームを操作するためのMCPサーバーや、メモツールのObsidianと接続するMCPサーバーもあります。
詳しくは、MCPの公式GitHubリポジトリーや、コミュニティにより管理されているMCPサーバーのリストを参照してください。
MCPを使うには?
Claudeのすべてのプランで、MCPサーバーとClaudeデスクトップアプリの接続がサポートされています。
Claude for Workを利用しているユーザーは、Claudeを内部システムや内部データセットにローカルで接続できます。また、組織全体で利用できるリモートのMCPサーバーを展開するための開発者ツールキットが近日中に提供される予定とのことです。
MCPサーバーを使う方法は、3つあります。
- Claudeのデスクトップアプリをインストールして、事前に用意されているMCPサーバーを利用する
- クイックスタートガイドにしたがって自分でMCPサーバーを開発する
- コネクターと実装のオープンソースリポジトリーに貢献する
まとめ
MCPは、AIと情報源を接続するためのオープンなプロトコルです。MCPを使うことで、AIがさまざまなデータやツールと接続できるようになります。MCPはオープンな標準プロトコルであり、誰でも利用できるようになっています。MCPを活用することで、AIがより多くの情報を取得して応答できるようになります。