Bitlyが無料プランのリンクに広告を表示すると発表 利用規約の変更への対策は?

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画像:Bitly公式サイト

URL短縮サービスとして有名なBitlyが、無料プランのユーザーを対象として、リンクの移動前に広告を表示する可能性があると発表しました。広告を非表示にしたい場合は、有料プランに移行する必要があるとのことです。

Bitlyがリンクの移動前に広告を表示すると発表

Bitlyは、2025年1月下旬ごろからユーザーに対して、利用規約とプレイバシーポリシーの変更に関するメールを送信していたことが判明しました。日本のユーザーには2月14日頃から送信しているようです。

その中で、無料プランのユーザーを対象として、リンクの移動前に広告を表示する可能性があると発表されました。

無料プランのユーザーが作成したBitlyの短縮リンクでは、目的のリンク先に移動する前に、リンク先に関する情報が含まれている「プレビューページ」が表示される可能性があるとのことです。また、このプレビューページには広告が表示される場合があるとしています。

Bitlyがユーザーに向けて送信しているメールの日本語訳の一部を次に示します。

翌月から、視聴者がBitlyリンクまたはQRコードを操作すると、リンク先のURLに誘導される前にプレビューページが表示される場合があります。このページにはリンク先に関する情報が含まれており、広告が含まれる場合もあります。

無料のBitlyユーザーは、有料のBitlyプランを選択することで、いつでもリンクやQRコードからプレビューページエクスペリエンスを削除できます。

このように、無料プランのユーザーが作成したBitlyの短縮リンクには、リンク先に移動する前にプレビューページが表示される可能性があるとのことです。広告を非表示にしたい場合は、有料プランに移行する必要があるとのことです。

影響は?

目的のリンク先に移動する前に広告を含むプレビューページが表示されることで、いくつかの影響が考えられます。

まず、目的のリンク先に到達する前に途中で離脱するユーザーが増える可能性が考えられます。

一般的に、目的のWebページに到達するまでに必要なクリック回数が増えれば増えるほど、離脱率が高くなるとされています。

筆者の経験上、リンクの貼り方やオーディエンスの興味によって異なるものの、リンクのクリック率はおおむね1%〜3%程度です。短縮リンクをクリックしたユーザーはリンク先に対してある程度興味をもっていることが予想されるため、プレビューページにおけるクリック率はこれよりも高くなると考えられます。

それでも、プレビューページによって一部のユーザーは離脱する可能性があります。したがって、Bitlyの無料プランを利用している場合は、リンク先に到達するユーザーがこれまでよりも少なくなると考えられます。

また、プレビューページが表示されることによるほかの影響として、ユーザーが詐欺に巻き込まれる可能性が考えられます。

Bitlyがどのような広告を表示するかは不明ですが、Webの広告には一定数の詐欺広告が混ざっています。短縮リンクをクリックしたユーザーが、プレビューページに表示されている広告を誤ってクリックしてしまい、詐欺に巻き込まれる可能性があります。

実際に、Bitlyとは異なるサービスではあるものの、短縮リンクのリダイレクト中に表示される広告によってユーザーが詐欺に遭ったという事例が複数報告されています。

次に示す2つの記事では、“野良”のQRコード作成サービスを利用してQRコードを作成したところ、そのサービスが利用していた短縮リンクサービスに詐欺広告が表示されていたため、ユーザーが詐欺に遭ったという事例が取り上げられています。

対策と移行先は?

前述のように、Bitlyでリダイレクト前に広告が表示されるようになると、いくつかの影響が考えられます。とくに、広告によってユーザーが詐欺に遭うことは避けたいところです。

次の3つのいずれかの対策が考えられます。

このうち、筆者はとくに2つ目の「短縮リンクの利用をやめる」を強く推奨します。

Bitlyの有料プランに登録する

これは、Bitlyの無料プランを利用しているユーザーが広告を非表示にするためのもっとも単純な方法です。Bitlyの有料プランに登録することで、リンクやQRコードからプレビューページエクスペリエンスを削除できます。

短縮リンクの利用をやめる

筆者は、これを機に短縮リンクの利用をやめ、直接リンクを貼ることを強く推奨します。短縮リンクを使うべき理由はほとんどないのに対して、使うべきでない理由はいくつもあります。

セキュリティ的な観点では、まず、短縮リンクのリダイレクト中に広告が表示される場合、前述のようにユーザーが詐欺に遭う可能性があります。

また、信頼できる短縮リンクサービスでない限り、サービスの提供者に悪意があればリダイレクト先を自由に変更できるため、リダイレクト先をあとから詐欺サイトに変更されてしまう可能性もあります。

短縮リンクサービスのサービス終了によってリンク切れするという問題もあります。ただリンク切れするだけならまだマシですが、悪意のある人物がそのサービスのドメインを取得し、リダイレクト先を詐欺サイトに変更するということも考えられます。

ユーザーの利便性の観点では、短縮リンクを実際にクリックするまでリンク先が分からないという問題もあります。

さらに、スマートフォンでムダなナビゲーションが発生するという問題もあります。

スマートフォンには「インテント」と呼ばれる機能が存在しており、たとえばYouTubeのリンクをタップするとYouTubeのアプリが開き、X(Twitter)のリンクをタップするとXのアプリが開くようになっています。

しかし、短縮リンクを利用していると、適切なアプリが開く前に一度Webブラウザーが表示されます。ユーザーが利用しているWebブラウザーの設定によっては、適切なアプリにリダイレクトされないこともあります。

直接アプリを開けないという問題は、多くの場合はそれほど大きな問題ではありません。

しかし、たとえばログインが必要なサービスにリンクしておりアプリが起動しなかったという場合は、ユーザーがWebブラウザーでログインしなければならないという問題が発生します。よほどそのリンク先を閲覧したかったという場合でない限りは、ユーザーはそのまま離脱してしまうでしょう。

このように、短縮リンクを利用するべきでない理由はいくつもあるにもかかわらず、短縮リンクを利用する理由はほとんどありません。

Webサイトに掲載する場合は、文字数の制限はないことがほとんどです。また、X(Twitter)は投稿の文字数に上限が存在しますが、URLが自動で短縮リンクに変換される仕組みになっており、短いURLでも長いURLでも同じ文字数でカウントされます。

ユーザーが手作業でURLを入力する場合は短い方が入力しやすいですが、そもそもユーザーが手作業で入力しなければならないという状況が発生しないようにするべきです。Webなら適切にリンクを貼ればクリックするだけで遷移できますし、紙のポスターならQRコードを掲載すればスマートフォンで簡単にアクセスできます。

なお、QRコードの作成サービスについては、前述のように内部で利用している短縮リンクサービスが原因でユーザーが詐欺に遭う可能性があるため、短縮リンクを使用せずにURLをそのままQRコードに変換するサービスを利用することを推奨します。検索結果で上位に表示されるサービスでも内部で短縮リンクを利用していることがあるため、細心の注意を払うことをオススメします。

短縮リンクサービスの中には、アクセス解析が可能なものもあります。しかし、そもそもリンク先にアクセス解析ツールを導入すれば、短縮リンクサービスを利用せずともアクセス解析が可能です。

ほかの短縮リンクサービスに移行する

リンク先が自社の管理するプラットフォームではなくアクセス解析が不可能なため短縮リンクでアクセス解析したい場合など、どうしても短縮リンクを利用したい場合は、Bitly以外の短縮リンクサービスに移行することも検討してみてください。

前述のように、短縮リンクを利用することによるリスクはいくつかあるため、信頼できる短縮リンクサービスを利用することが非常に重要です。とくに、筆者はBitlyのような大手企業が提供する短縮リンクサービスを利用するか、自社で短縮リンクサービスを構築することを推奨します。

筆者は、セキュリティと透明性の観点から、原則として自分で所有しているドメインにホストした自作の短縮リンクシステム(go.roboin.io)を利用するようにしています。

お使いのドメインにすでにCloudflareを導入している場合は、Cloudflare Pagesプロジェクトを作成して_redirectsファイルを設置するだけで簡単に無料で短縮リンクを実現できます。

まとめ

Bitlyが無料プランのユーザーを対象として、リンクの移動前に広告を表示する可能性があると発表しました。広告を非表示にしたい場合は、有料プランに移行する必要があるとのことです。

無料プランのユーザーが作成したBitlyの短縮リンクでは、目的のリンク先に移動する前に、リンク先に関する情報が含まれている「プレビューページ」が表示される可能性があるとのことです。また、このプレビューページには広告が表示される場合があるとしています。

Bitlyの無料プランを利用している場合は、リンク先に到達するユーザーがこれまでよりも少なくなると考えられます。また、プレビューページによって一部のユーザーは離脱する可能性があります。さらに、ユーザーが詐欺に巻き込まれる可能性も考えられます。

短縮リンクの利用をやめるか、信頼できる短縮リンクサービスに移行することを検討してみてください。

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生まれた時から、母国語よりも先にJavaScriptを使っていました。ネットの海のどこにもいなくてどこにでもいます。

Webフロントエンドプログラマーで、テクノロジーに関する話題を追いかけています。動画編集やプログラミングが趣味で、たまにデザインなどもやっています。主にTypeScriptを使用したWebフロントエンド開発を専門とし、便利で実用的なブラウザー拡張機能を作成しています。また、個人ブログを通じて、IT関連のニュースやハウツー、技術的なプログラミング情報を発信しています。