Rustのビルド監視ツール「Cargo Watch」が開発終了 BaconやWatchexecへの移行を推奨

Rust開発者の間で人気な自動ビルド監視ツール「Cargo Watch」が、今後はアップデートされないことが明らかになりました。
開発者のFélix Saparelli氏は、GitHubリポジトリーのREADME上で「Cargo Watchは延命措置(life support)の状態にあります。これ以上の更新はしません」と宣言し、代わりに「Bacon」など別のツールの利用を強く推奨しています。
「Watchexec(ライブラリー)の改善をCargo Watchに反映できる十分な状態にするためには、必要と考えられる相当な作業が存在しており、現実的な完了の見通しが立たないまま数年間続いています」と、その背景が説明されています。
Cargo Watchは、ソースコードの変更を検知して自動的にCargoコマンドを実行するツールとして誕生しました。Node.js向けの「nodemon」、Rubyの「Guard」に似た、シンプルで便利な仕組みが魅力でした。
Cargo Watchは便利な存在だった一方で、増改築を繰り返したことで、複数のコマンド実行用構文が併存して使いにくかったり、フィルタリングが限定的であったりするなど、古くなった設計上の課題も抱えていました。
ここ数年で改善されたものの、Rust Analyzerとの衝突が起こるケースもあり、総合的に見て新ツールへ移行するメリットが大きいとのことです。
さらに10年という長期にわたるOSSコミットの疲れやモチベーションの低下、大幅に改善された類似ツールの登場などが重なり、開発を終了することになったようです。
Saparelli氏は、「実際、約5年前に『Overwatch』と呼ぶCargo Watchの後継開発を始めました。OverwatchにはTUI、タスクファイル、リッチなページャー、そしてその他長年望まれていた機能が搭載される予定でした」と述べていますが、最終的にOverwatchは実現しなかったようです。
移行先として推奨されているBaconについて「今日のBaconは、私が望んだOverwatchそのものです」とも述べられています。
なお、今後Cargo Watch自体は更新が停止した状態で公開され続ける見込みで、すぐにダウンロードできなくなるわけではありません。
しかし新規機能の追加やバグ修正はされず、開発者サイドからは積極的に「Bacon」や「Watchexec」などの代替ツールに移行するよう呼びかけられています。
Saparelli氏は最後に、「もう手放す時です。Baconを使いましょう。Cargo Watchのことを忘れないでください」と述べています。