h1要素のブラウザーのデフォルトのスタイルが変更へ

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ブラウザーは、ネストされたセクション見出しに対するデフォルトのUAスタイルの変更を展開し始めています。開発者は、予期しない結果やLighthouseチェックの失敗を避けるために、特定のケースでUAスタイルに依存していないことを確認する必要があります。この記事では、今後の変更内容、それがページにとって問題かどうかを識別する方法、そして適合したよりよい構造のWebサイトにするためのヒントを紹介します。

変更点

HTML仕様はかつて、<h1>要素に対して、それがどれだけ多くのセクショニング要素(<section><aside><nav><article>)にネストされているかにもとづいて、暗黙的な意味的見出しレベルを与えるアウトラインアルゴリズムを定義していました。

ブラウザーのレンダリングは、section > h1<h2>と同じフォントサイズとマージンをもっていました。また、section > section > h1<h3>というように表現されました。デフォルトのレンダリングは、ブラウザーのUAスタイルに実装されていましたが、(スクリーンリーダーが使用する)アクセシビリティツリーにおける見出しレベルには影響しませんでした。Webサイトはセクショニング要素を使い始めましたが、アウトラインアルゴリズムによる自動的な見出しレベルの変化は想定していませんでした。

一般的に、これは開発者がどこで<h1>要素を使えるかについて混乱を生じさせ、ツールはHTMLを異なる方法で処理したため、アウトラインアルゴリズムは問題のあるものとみなされました。アウトラインアルゴリズムは2022年にHTML仕様から削除されましたが、UAスタイルシートのルールは依然として残っています。デフォルトスタイル内のこれらのルールが現在、ブラウザーベンダーによって削除され始めています。

/* xは:is(article, aside, nav, section) */
x h1 { margin-block: 0.83em; font-size: 1.50em; }
x x h1 { margin-block: 1.00em; font-size: 1.17em; }
x x x h1 { margin-block: 1.33em; font-size: 1.00em; }
x x x x h1 { margin-block: 1.67em; font-size: 0.83em; }
x x x x x h1 { margin-block: 2.33em; font-size: 0.67em; }

たとえば、このようなコードがあった場合、

<body>
<h1>Level 1</h1>
<section>
<h1>Level 2</h1>
<section>
<h1>Level 3</h1>
<section>
<h1>Level 4</h1>
</section>
</section>
</section>
</body>

古いUAスタイルでは次のように表示されます。

section要素でネストされた4つのh1要素の古いUAスタイル

新しいUAスタイルではこのような見た目になります。

section要素でネストされた4つのh1要素の新しいUAスタイル

あなたのブラウザーのデフォルトのスタイルが適用された前述のHTMLの例を次に示します。

Level 1

Level 2

Level 3

Level 4

予想されることとその時期

ブラウザースタイルの変更と並行して、Lighthouseのようなページ監査ツールは、font-sizeが定義されていない<h1>をバッドプラクティスとしてフラグ付けするようになっています。予想されるおもなポイントを次に示します。

これらの変更は、次のタイムラインで各ブラウザーに展開されます。

Firefox

Chrome

Safari

Lighthouseの警告を修正する方法

Lighthouseは最近、<h1>要素にfont-sizeが指定されていないサイトに対して、ChromiumのDevTools警告にもとづいたチェックを継承しました。新しいルールはH1UserAgentFontSizeInSectionと呼ばれ、非推奨警告の追加にともなって3月から表示されるようになっています。<h1>警告が表示された場合は、<h1>に明示的にフォントサイズとマージンを適用していることを確認してください。推奨されるスタイルは次のとおりです。

h1 {
margin-block: 0.67em;
font-size: 2em;
}

<h1>を対象とするほかのスタイルルールを上書きしないようにするには、詳細度がゼロの:where()を使用できます。

:where(h1) {
margin-block: 0.67em;
font-size: 2em;
}

見出し要素のMDNページには現在、上記のメモが記載されており、開発者がこの情報を確認できるようになっています(訳注:記事公開時点で日本語版のMDNにはまだ反映されていない)。

まとめ

覚えておくべきポイントは次のとおりです。


“Default styles for h1 elements are changing | MDN Blog” by Simon Pieters, licensed under CC-BY-SA 2.5 / translated into Japanese by ろぼいん

#CSS#Web開発#プログラミング#解説

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生まれた時から、母国語よりも先にJavaScriptを使っていました。ネットの海のどこにもいなくてどこにでもいます。

Webフロントエンドプログラマーで、テクノロジーに関する話題を追いかけています。動画編集やプログラミングが趣味で、たまにデザインなどもやっています。主にTypeScriptを使用したWebフロントエンド開発を専門とし、便利で実用的なブラウザー拡張機能を作成しています。また、個人ブログを通じて、IT関連のニュースやハウツー、技術的なプログラミング情報を発信しています。